「もっとオープンになったような気がする。野球以外のことも、ちょっと話すようになった。結婚してパートナーができて、ちょっと変わったのか?それとも水原通訳の事件があって変わったのか?」
揺るぎない自信
水原事件を通して、大谷の揺るぎない自信を感じたとディランは語る。
大谷がスキャンダルについて声明を発表した3日後、ディランはロッカールームで大谷に、「水原がどうやって口座にアクセスしたのか」「なぜ誰も気付かなかったのか」を直接、日本語で質問しにいった。他の記者が遠慮しがちな状況でも、読者が気になっていることであれば取材するのがディランのスタイルだ。
「普通の選手だったら嫌がる。ネガティブな話になると相手が緊張するのが伝わってくる。僕にアプローチされたら嫌なことを聞かれるんじゃないかと身構える選手もいる。でも大谷は、ただ『答えられない』と普通に答えた。フレンドリーだった」
「水原事件で、多くの人が大谷に疑いを抱いていた。日本の報道陣は書いたり言ったりはしなかったけど、みんな『おかしい』とは思っていた。そういう中で、僕だったら『自分は何もやっていない!』と怒るだろうけど、大谷は平常心でいられた。自分がどういう人間かに自信があるんだろうね。『この場で説明しなくても、いつかは明らかになることだし』って。大谷がフィールド上ですごいのは分かっていたけど、人間としてもしっかりしている。アメリカに来た時に、日本でやってきたことに自信があると言っていたけど、人としても自信があるんだと思う」
大谷の活躍もあり、ドジャースは24勝13敗でナ・リーグ西地区を独走している。ファン待望のワールドシリーズ優勝も、より現実味を帯びてきた。
全米のファンやメディアが一斉に野球に注目するのは、ポストシーズンに限られる。そこで活躍すれば、大谷の存在や人間性もより広く知られるようになるだろう。ドジャース移籍後、新たな一面を見せるようになった大谷が、シーズン後にアメリカでどのように評価されるのか。今から楽しみだ。