父親の清原和博氏。正吾の応援のためスタンドに姿を見せている

「チームメートに聞くと、『正吾は努力家』と口をそろえます。器用なタイプではないので入部当初は守備でミスが目立ったが、必死に練習していました。打撃はまだまだ粗削りですが、数少ない長距離砲として希少価値がある。気持ちの強さも魅力です。3年春の途中でベンチ外となり、3年秋もメンバーから外れてスタンドから応援していたが、気持ちを切らすことなく練習に打ち込んでいた。Bチームで4番を任されるなど目をみはるほどの成長を見せています。大化けする可能性は十分にありますよ」

 慶大は変革期を迎えている。昨秋に4季ぶりの六大学リーグ制覇を遂げ、明治神宮大会で4年ぶりの優勝を飾ったが、主将の廣瀬隆太(ソフトバンク)、栗林泰三(JR東日本)、宮崎恭輔(パナソニック)と打線の中軸を担っていた右の強打者たちが一斉に卒業。堀井哲也監督が、新チームの4番として白羽の矢を立てたのが、3年まで目立った実績がなかった正吾だった。

4番で2試合連続タイムリー

 今春のリーグ戦開幕戦となった4月13日の東大戦1回戦。正吾は「4番・一塁」でスタメン出場し、3回1死一、三塁の好機でセンターの頭上を越える先制適時二塁打。この一打が打線に火をつけ、4回までに5点のリードを奪って快勝した。
 翌14日の東大戦2回戦でも初回無死一、三塁で回ってきた打席で右前にはじき返し、2試合連続となるタイムリー。母・亜希さんの誕生日に最高のプレゼントとなる一打を放ち、開幕カード2連勝に貢献した。

 正吾は最終学年を迎えるタイミングで、NPBの舞台でプレーしたい思いをメディアで明言している。3年秋のリーグ戦で1本も安打を打っていない現実を考えれば、無謀ともいえる厳しい道だ。だが、覚悟の上だろう。

 大学3年までは目立たなかったが、4年で活躍してドラフト1位で入団した選手もいる。上武大から中日に入団したブライト健太。3年秋までは控えだったが、4年春のリーグ戦で外野の定位置をつかむと、打率.383、3本塁打、12打点の活躍でMVPを受賞。全日本大学野球選手権でも2本塁打を放ち、チームのベスト4進出に貢献した。

 パ・リーグの編成担当はこう分析する。

「清原の場合、アピールポイントは長打力になるでしょう。NPBは投高打低が進んでいるので、長距離砲の価値が高まっている。打球を遠くに飛ばせるのは稀有な才能です。春秋のリーグ戦でどれだけ量産できるか。計10本近い数字を残せば、ドラフトで指名される可能性が出てくると思います」

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