アメリカのポップカルチャーメディアICv2によると、22年の北米のコミックとグラフィックノベル(日本式の漫画本など)の売り上げは21億6千万ドル(約3200億円)で21年比4%増加し、20年を60%以上上回った。ヒットする作品のジャンルも広がっている。
「少年ジャンプの作品に代表されるボーイズアクション系が人気だったのが、漫画を読む人が広がって、ホラーや学園モノ、スポーツモノといった以前は受けなかった漫画が読まれるようになりました。漫画市場の裾野が広がりました」
22年の電通の調査では、アメリカのZ世代の約600人のうち、44%が流行っているアニメを視聴すると答えた。さらに、アニメの原作漫画を読んだことがあるのは42.3%に上った。
ビズメディアは、アメリカで漫画家を育てて、オリジナル作品を生み出すプロジェクトを進めている。すでに6作品が世に出て、軌道に乗り始めているという。
「そろそろアメリカ発の漫画のヒット作ができてもいい頃です」
今年、映画「君たちはどう生きるか」と「ゴジラ-1.0」がアカデミー賞を受賞した。
「日本は原作の宝庫ですが、漫画をグローバルとしてもっと大きくするためには、海外とのビジネスの仕方をもっと学ばなければならないと思います」
ハリウッドも漫画を原作にした映画を作りたいと狙うが、日本の作品は版権が複雑で権利関係者が多いため、企画が流れることもあるという。
「日本は原作の威厳を保ちつつ、海外でどのようにマルチメディア展開するか試されています」
北米での漫画のマーケティングに詳しく『アメリカに日本のマンガを輸出する』の著書がある一橋大学の松井剛教授によると、アメリカで少女漫画の市場が大きくなったきっかけに「セーラームーン」があるという。1995年にケーブルテレビで放映され、漫画を買う女の子たちが現れた。
「アメリカで漫画というと、マニアしか出入りしないコミックショップでしか売っていなかったのが、家族連れで寄れる大型書店で取り扱われるようになる。こうしてマーケットが拡大しました」