世界で日本の漫画が人気を集めている。アメリカで大きなブームになったのは、2010年代後半からだという。漫画はいかにして「MANGA」としてアメリカで浸透したのか。AERA 2024年4月8日号より。
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漫画家の鳥山明さんの死は、世界に衝撃を与えた。
米紙ニューヨーク・タイムズは、「彼の人気漫画は国境を超えて多くのファンに届いた」、英BBCは「ファンは子ども時代の一部となったキャラクターを生んだ鳥山さんに敬意を表している」と報じた。フランスのマクロン大統領は、X(旧ツイッター)に、鳥山さんのサイン入り色紙を「鳥山明と何百万もの彼の愛好家へ」の言葉とともに投稿した。
アメリカでドラゴンボールを出版する、小学館と集英社、小学館集英社プロダクションが出資するビズメディア代表取締役社長の佐々木健さんは言う。
「鳥山明さんが亡くなられて、弊社がSNSアカウントに追悼のコメントを出したら、日本と同じように投稿に返事をしてくれる熱いファンがいました。ドラゴンボールは日本の漫画作品の中では、一、二を争う人気作品で、アメリカの人なら誰もが知っていると思います」
日本のIP(知的財産)や原作の中で一番知名度があるのはポケットモンスターだが、それ以外にアメリカの大衆に浸透している作品が3作あるという。「ドラゴンボール」「NARUTO」「美少女戦士セーラームーン」だ。この3作品に共通しているのが「アニメ化」されていることだ。とはいえ日本と違ってテレビでのアニメ放送の枠は少なかった。
「ですので原作漫画の売れ行きも非常にニッチだったんです。会社ができて約40年、コツコツと日本の漫画をローカライズして市場には出していましたが、そこまで大きなブームにはなっていなかったんです」
ハリウッドも原作狙う
ブームになったのは2010年代後半からだ。
「大きな理由の一つは、ストリーミングのプラットフォームでアニメを視聴できるようになったからです。これまでテレビでアニメを週に数本しか見られなかったところ、ストリーミングで何十作品も見られるようになりました。アニメの認知度が上がると同時に漫画の認知度も上がりました。そしてコロナ禍の巣ごもり需要に乗って一気に売れ行きが上がりました」