AERA 2024年4月8日号より

コロナ禍で売れ行き増

 紀伊國屋書店海外事業推進室室長の伊藤聡さんは言う。

「アメリカに初出店した1969年当時は駐在員向けの日本語の本が多く、日系アメリカ人、日本に興味のあるアメリカ人が中心だったのですが、今は9割が現地のアメリカ人のお客さんです」

 現地のお客さんが求める「紀伊國屋書店でないと買えない本」。それが漫画だ。ニューヨーク本店は地下1階、地上2階だが、2階はフロア全体が漫画とキャラクターグッズと、豊富な品揃えを誇る。

「日本の漫画が好きな、いわゆる『おたく』の人たちが来ていました」

 世界中で漫画が読まれていると言われているが、一般化したといえるのはやはりコロナ禍以降だという。これまでになかった反響も生まれている。

 24年2月にアメリカの紀伊國屋書店で売れた英文書ベストセラー20作品のうち、19作品が漫画、コミックスだった。1位は『チェンソーマン』14巻、11位は『呪術廻戦』21巻と、日本でも人気の最新作が並ぶ。漫画ではない1作品も、ONE PIECEに登場する料理のレシピ本だからベストセラーは全て漫画、コミックス関連だ。

「2019年から21年にかけて漫画の売り上げは2倍になりました。今は少し落ちましたが、コロナ禍前よりは高い売り上げをキープしています」

 紀伊國屋書店の23年8月期の売り上げは1306億円、当期純利益は31.7億円で過去最高。売り上げ増には円安も手伝ったが、「漫画の売り上げ増加も寄与しています」。

(編集部・井上有紀子)

AERA 2024年4月8日号より抜粋

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