毒を感じさせない自慢話

鎌田:女性の自己肯定感が上げるものは人それぞれで、生き方もその評価軸も複雑。だからこそ、女の人同士が集まると、相手をうらやましいと思う気持ちを隠しがちで、何も語り合えなかったりしますよね。

鈴木:本当は、自分の中で絶対的な評価軸があったほうがいいと思うんだけど、つい人と比べてしまうものじゃないですか。globeの曲に「時には誰かと比べたい私の方が幸せだって」っていう歌詞があるんですけど、それを聞いた当時の私は、幼いながらもめちゃくちゃそうだなと思いました。

 私は割とすぐ人のことをうらやましいと思うタイプです。独り身の自由はすごく尊いけど、子どもがいる人はうらやましいし、お金持ちと結婚した人はうらやましいし、一流企業の会社員はどこでも家を借りられてうらやましい。

 でも、そのうらやましいっていう気持ちを隠さないようにすると、逆に自分の自慢をしてもあまり嫌な感じはしないと思うんですよね。「私、子どもいないんだよね。でも出世して部長になったよ!」っていうのは、そんなに毒は感じないというか。自分自身も、相手のことをいいなって思いながら、微妙な顔をして「まあ私には無理だな」なんて言っていたときより、すごく楽になった気がします。

 やっぱり女の人は、これは持ってる/持ってないが多様だと思うんですけど、そこからあまり目を背けないほうがいいと思います。持っていないものを見ないふりしないことと、持っているものを卑下しないこと。それが、自己肯定感を高めるヒントかなと思います。

(構成/AERA dot.編集部・大谷百合絵)

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大谷百合絵

大谷百合絵

1995年、東京都生まれ。国際基督教大学教養学部卒業。朝日新聞水戸総局で記者のキャリアをスタートした後、「週刊朝日」や「AERA dot.」編集部へ。“雑食系”記者として、身のまわりの「なぜ?」を追いかける。AERA dot.ポッドキャストのMC担当。

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