何を選んでも、「自己肯定感の罠」
鎌田:私は小さいころ、「女に生まれてよかった!」って思っていたんです。だって、選択肢が多くて色んな人生を歩めそうだから。でもいざ女として生きていると、選択しなかったもののほうがよかったんじゃないかという迷いもあって。
鈴木:ある意味、男の人のほうが残酷さは見えやすい気がします。仕事でうまくいかないと鬱(うつ)になったり自殺してしまったりする男性が多いのは、やっぱり学歴も仕事もモテも割と同じものを積み重ねていくから、have it allになるか何も持っていないかっていう“一本道”に見えがちというか。
男の人って学歴や収入が高くなることでモテなくなることはないけど、女の人だと東大に行くか女子大に行くかっていうのは、モテに関しては難しい選択ですよね(笑)。かといって、若いときはすごくモテたけれども今は普通の主婦で、周りがバリバリ出世していく中、このまま子どもの脇役で終わっていいのかしらって悩んでいる人もいるだろうし。何を選んでも自己肯定感の罠がある。女の自己肯定感のほうが、何がその根幹になるかという意味で、男より複雑で味わい深い感じがします。
鎌田:自己肯定感を上げてくれる、自分を“すくいあげて”くれるものも、女性だとなおさら人それぞれですよね。
鈴木:私は安野モヨコさんの大ファンなんですけど、安野さんの「ハッピー・マニア」っていうマンガに出てくる主人公のシゲタカヨコさんは、仕事はすぐやめちゃうし常にバイトでフリーターみたいな感じだけど、恋愛で満たされるとすごく幸せになれて、逆に恋愛がダメだと何を与えられてもぶさーっとしている恋愛至上主義の人で。
彼女は男性関係で満たされていると自己肯定感が上がるタイプだけど、みんなそこまで分かりやすい自己分析にはならないですよね。私も割と恋愛体質ですけど、それで仕事や友情にしわ寄せが来ると不幸感が強くなるというか、男にかまけている自分はすごくアホなんじゃないかって思ってしまうタイプで。