先述したように坂本光士郎は移籍先のロッテで活躍しているが、交換要員で獲得した山本大貴も昨年はキャリアハイとなる42試合に登板し、2勝9ホールド、防御率2.55という成績を残している。ともに中継ぎサウスポーで交換する意味があったのかという声があることも確かだが、移籍後に揃って成績を伸ばしていることを考えると、トレードが良いきっかけになったことは間違いないだろう。
そしてヤクルトにとって近年最も大きなトレードによるプラスは2021年のシーズン開幕直前に獲得した田口麗斗である。巨人では3年目の2016年から2年連続で二桁勝利をマークするなど先発の一角として活躍していたが、それ以降は先発、中継ぎと役割が定まらず低迷。しかしヤクルトに移籍すると1年目こそ防御率4点台と巨人時代とそれほど変わらない成績だったものの、2年目の2022年にリリーフに専念して見事な復活を果たす。昨年は退団したマクガフ(現・ダイヤモンドバックス)に代わって抑えに定着すると、リーグ2位となる33セーブをマークする大活躍を見せた。今年は怪我で出遅れているものの、本来の調子を取り戻すことができれば、最多セーブのタイトル争いに絡む可能性は高い。またこのオフにも宮川哲(交換要員は元山飛優)を西武から獲得しているが、山本、田口に続く成功例として期待したいところだ。
積極的にトレードを仕掛けてはいるものの、トータルで見るとプラスとは感じられないのが巨人、日本ハム、中日の3球団だ。巨人は前述したように沢村と石川がロッテ、田口がヤクルトに移籍してから活躍しており、その交換要員として獲得した3人は一軍の戦力となっていない。
成功例と言えるのは2020年にともに楽天から獲得した高梨雄平とウィーラーくらいという印象だ。ただこのオフにソフトバンクから獲得した高橋礼と泉圭輔、オリックスから獲得した近藤大亮が期待通りの活躍を見せれば、かなり印象は良くなるだろう。