他方で、おもしろがって勉強してきた人や、マニアックに勉強してきた人は、自分でとことん追求して考えるクセがついていますので、おもしろいものを生み出すポテンシャルをもっていると思います。いまの日本社会ではこういうタイプの人が求められていると思います。

  東大では起業する学生も増えており、東大発の起業件数は全国でもトップです(経済産業省「令和4年度大学発ベンチャー実態等調査」)。それはおもしろがって勉強してきた人たちが多いからだと思います。

 東大の教育には期待しませんが、こうした人たちと出会うことには期待していいと思います。

――受験生やその親には「何がなんでも東大」という認識の人もいます。

 そういった呪縛はあります。ただ、東大でなければいけないということは現実的にはほぼないと思います。官僚になりたいと思ったら、今の時代であれば、他の国立大でも私大でも十分に入れる可能性があります。弁護士になったとしても、どこの大学を出たかが重要なのではなく、裁判に強いか弱いかが重要になってきます。

 ただ、学力は無視できません。ある企業では、東大生であることにゲタを履かせないように、大学名を書かせないで入社試験をしたら、逆に東大生が多くなったということがあったと聞きます。東大に受かるほどの勉強をしていれば、当然考える力は強くなります。東大に行くかどうかは別にして学力はつけておいたほうがいいということです。

――「東大卒」に対する信奉が社会にあるように思います。

 日本人の悪いクセだと思っていますが、頭の良さというものを一生変わらないものだと思っている節があります。

 私は東大医学部の出身ですが、それをもって「頭がいい」などと言われることがあります。ただ、私が医学部に入ったのは40年以上も前の話です。

 より重要なのはいまどれだけ頭がいいか、ということなのだと思います。いまに至るまで、どれだけ勉強をし続けてきたかが重要です。「東大卒」「医学部卒」でもその後勉強をしなければバカにあります。「若いころはモテた」「昔は野球の実力がすごかった」と自慢しても、今がパッとしなければ意味がありません。

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