仮に「三流大学」と言われるような大学に入ったとしても、しっかりと勉強をし続ければ、東大卒の人を逆転することはできます。自分の学歴や地位に慢心してバカになっていく人たちを私は何人も見ています。いくら東大を出たからといっても、バカになるのです。

――最近の受験についてどう見ていますか。

 いまの受験生は、最初から「諦め」を持っているように思います。都会の中高一貫校に入らないと東大には合格できないとか、医学部に入れないとか。私は受験生向けの塾を経営していますが、そう感じます。

 少し古い話ですが、2005年にテレビドラマ『ドラゴン桜』(受験テクニックを駆使して東大現役合格を目指すストーリー)が放送されたときには「にわか東大受験ブーム」が起きました。しかし、21年に『ドラゴン桜2』が放送されたときは、視聴率は良かったものの、東大受験のブームは起きませんでした。

 多少勉強したところで東大には受からないという認識が強まっているように思います。東大生の家庭は世帯年収が1千万円を超えている割合が4割超になっています。親が東大出身というのも少なくありません。「親ガチャ」という言葉がありますが、生まれた環境や親によって頭の良さや行ける大学が決まっているという雰囲気が蔓延(まんえん)しているように思います。

 ただ、大学受験というのは、大学を合格することに意味があるのではなく、自分のやりたいことを踏まえて、勉強していくことに意味があるのだと思います。学力をつけるだけではなく、色んな勉強法を試して、結果を得ていくことが大切なんです。そのプロセスを繰り返していくことで、頭がよくなっていきます。

 ハナから諦めてしまえば、工夫する努力もしなくなってしまいます。勉強の仕方を工夫すれば東大に合格することもできるし、勉強をし続ければ東大出身者よりも頭がよくなることもできるということを知っておいてほしいです。

(聞き手/AERA dot.編集部・吉崎洋夫)

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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