10年前と比べて子どもの花粉症を自覚する割合は10%も増えているという。花粉の飛散時期は受験シーズンとも重なるため、早めの対策がカギとなる。AERA 2024年3月11日号より。
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息子が花粉症かもしれない、と気づくのに時間はかからなかった。親である筆者と症状がほぼ同じだったからだ。目のかゆみに始まり、くしゃみ鼻水、じきに鼻水が喉に落ちて咳(せき)をし始める。当時、息子は小学5年生。気の毒に、もう花粉症か。
医者に行くのを嫌がったため特に対策もせずにいたが、いざ花粉の飛散と入試の時期が重なったときは「どうすりゃいいの」と戸惑った。もともと控えめな勉強への集中力が、目鼻の症状によりさらに落ちているような。しまった、事前に何か対策を考えておくんだった……。
10年前から10%も増加
花粉症の子どもが昔と比べて増えているという調査結果がある。2024年1月にロート製薬が0〜16歳の子をもつ親を対象に行ったアンケートによると、42・6%の親が「子どもが花粉症と診断された」または「多分花粉症だと思う」と回答した。これは同社が10年前に行った同様の調査と比較して10%も高い数値だ。
同調査によると、親が推定する子どもの発症年齢は平均5.8歳。就学前から症状を示すケースが珍しくないようだ。
「花粉症はとにかく早めの対策を」と話すのは、JCHO大阪病院の院長補佐で耳鼻咽喉科診療部長の前田陽平医師だ。
「中高生くらいだと花粉症対策は大人とほぼ同じです。ただしアレルギー性鼻炎は集中力にも非常に影響するので、受験生は早めに治療を開始していただければ。症状が軽いうちにお薬を使っていれば『軽く短く済む』というのが一般的な理解です」
病院をすぐ受診できない場合は、まずは薬局で買える飲み薬で治療を始めることも可能だ。
「昔の抗ヒスタミン薬は眠くなる作用があったが、新しいものは眠くなりにくいよう改善されている」と前田医師は言う。