病院では抗ヒスタミン薬に加え、「鼻噴霧ステロイド薬」と呼ばれるスプレータイプの薬もよく処方されるという。
「ステロイドは不安だという方もいるかもしれませんが、最近のものは血中への吸収が少なく全身性の副作用はほぼ心配ありません。眠くもならないので受験生にもいいかと思います」
なお市販の点鼻薬は「血管収縮薬」というタイプが多く、鼻噴霧ステロイド薬とは異なる点に留意したい。前田医師は「使用直後にすぐ鼻が通るタイプの点鼻薬は、続けて使用すると薬剤性の鼻炎を起こすことがある」と注意を促す。
マスクや眼鏡も効果的
スギ花粉を身体に慣らすことで体質を変える「舌下免疫療法」を検討している親子も多いだろう。これはどうなのか?
「約8割の人が効果を感じると言われる良い治療法ですが、シーズン中は始めることができません。花粉飛散の半年前、夏ごろには開始するとよいでしょう」
ただし、今現在は薬不足で新規の治療開始が難しい状況だという。残念ながら当面は別の治療法を考えるしかない。
「他にも『ゾレア』という花粉症の注射薬や、手術といった方法がありますが、大体の方は飲み薬や鼻噴霧ステロイド薬で症状を抑えられます」
マスクや眼鏡をつける、つるつるした素材の服を着るなど抗原を回避することも有用と前田医師は添える。
息子に勧める以前に、筆者もまだできていない対策があると気づいた。薬の飲み始めもいつも遅い。来年こそは早めに対策せねば。(ライター・大塚玲子)
※AERA 2024年3月11日号