スター選手になっても親しみやすい性格で知られた。名古屋のテレビ関係者は証言する。
「昌さんは話好き。世代を超えて人が集まってくるんですよね。ある若手が『他の先輩は緊張するけど、昌さんは話しやすいんですよね』と明かしていましたが、同じように感じた選手は多いと思います。主力になると寄せ付けないオーラを放つ選手が多いのですが、昌さんは違う。これは自身の野球人生が影響しているかもしれません。戦力外寸前で頭角を現しているので、なかなか芽が出ない選手たちの気持ちが理解できる。『おれは運がいいんだよ』と常々話していました。変なプライドがないから、他の投手の良いところを取り入れようとベテランになっても貪欲でした。チームは得点力不足なので野手出身の監督が求められているかもしれませんが、昌さんが監督に就任してどのようなチームをつくるのか興味があります」
「野球IQ」の高さ
山本氏、井端監督、和田打撃コーチの共通点は落合博満監督(当時)の下で主力選手として活躍したことだ。落合監督は2004~11年に指揮を執り、8年間全ての年でAクラス入り。リーグ優勝4度、07年に日本一に輝いた。落合中日の強さの源は「野球IQ」の高さだった。個々の選手が状況に応じた役割を果たし、勝利に徹する。当時中日でプレーした選手は振り返る。
「大量得点を取れる打線ではなかったけど、投手力が良かった。この戦力でどうしたら勝てるかと考えた時、少ない得点で逃げ切る野球を確立するしかない。二遊間で鉄壁の守備を誇ったアライバ(荒木雅博と井端)は打撃でも球数を投げさせて粘って四球で出塁したり、ノリさん(中村紀洋)も右打ちで走者を進めたり。勝つためのベクトルが一つに向いていました」