SNSなどを通じて知り合った女性に恋愛関係を抱かせ、金銭をだまし取る「ロマンス詐欺」の被害金回収をPRし、広告会社に弁護士の名義を貸して被害者の対応をさせていた疑いがあるとして、大阪地検特捜部が27日に弁護士法違反(非弁提携)の疑いで「G&C債権回収法律事務所」(大阪市北区)を家宅捜索した。事務所の代表を務める川口正輝(まさき)弁護士(38)に話を聴くなどして調べを進めている。
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川口弁護士をめぐっては、1800人の相談を受任して、着手金として約9億円を受け取っていながら、対応は業務委託先の広告会社が派遣・紹介した事務員がしていたとして、昨年、大阪弁護士会が同会の綱紀委員会に懲戒請求していた。以前、川口弁護士に相談して被害を受けたという女性の話を聞いた。
大阪市内に住む女性のAさんは一昨年の夏ごろ、SNSを通じてアメリカ人の医師を名乗る、ジョンという男性と知り合った。
「日本が大好きなアメリカジンです。仲良くなりたい」
「日本をもっとスキになりたい」
Aさんのもとには、ジョンから突然SNSで送られてきたメッセージが今も残っている。
コロナ禍でつい返信を
40代後半で独身というAさんは海外旅行が趣味で、コロナ禍前までは20カ国ほど訪れたという。
「コロナ禍、在宅で仕事することも増えていました。はじめてメッセージがきたときはお昼を家で食べていたときでした。まったく知らない人だけど、人と会う機会も減り、海外旅行にも行っていない。そんなときに海外の男性からメッセージがきたので、つい、返信をしてしまいました」
Aさんは、インターネットの翻訳サイトを使い、自己紹介などを英語でジョンに返信した。するとジョンは、
「今、28歳、ウクライナで医師として支援活動している」
「こちらは戦争でとても厳しいが頑張っている。こちらの任務が終われば日本に行ってあなたに会いたい」
などと書かれたメッセージが届いた。