日本とウクライナの時差は7時間。日本の夕方に毎日のようにチャットをするようになった。
「ジョンはすごく丁寧で、紳士に思えました。私の写真を送ると、彼からはウクライナの病院で撮影したような写真が届きました。すごく格好よくて、ほめるとポートレート写真など何枚も送ってくれて。長い間彼氏もいないし、すごくうれしかった。ジョンとのチャットが日課のようになりました。毎日、夕方の時間がくるのが待ち遠しかったです」
Aさんは会ったこともないジョンに恋心を抱くようになっていたという。
知り合って1カ月ほど経ったときだった。いつもは陽気なジョンが、元気なく、深刻そうな様子であることが感じられた。
「どうしたの? 心配ごとでもあるの?」
とAさんが尋ねると、
「ウクライナで医療品や薬が足りなくて、支援活動ができないんだ。病院に運ばれてきた人が助けられない」
「自分のいる病院も戦闘地域に近く、そろそろ退避したいがそのお金がない」
などというものだった。
3回、計310万円ほど送金
Aさんはジョンを助けたいと、
「お金、少しなら出せるけど」
とメッセージを返すと、ジョンから、
「ありがとう、助けてほしいんだ。必ず返すから」
「あなたのことを愛している。ウクライナを脱出すれば、日本に会いに行く」
Aさんはその言葉を信じ、指定された口座にネットバンキングで3回、計310万円ほど送金した。3回目の送金は9月だった。
するとその後、チャットにジョンが現れなくなった。
「ジョンの身に何かあったのでは」
Aさんは気が気でなかった。心配するメッセージを何度も送ったがまったく応答がない。
ある日、なにげなくSNSを見ていると、
「ロマンス詐欺というニュースがありました。私も引っ掛かったのかと思いましたが、もう40歳を過ぎて一人の私には相談相手もいない。思い返すだけでも恥ずかしくて仕方がない」
そこで、インターネットでロマンス詐欺を検索すると、川口弁護士のサイトにたどりついた。