現在も現役で見事な活躍を見せているのが比嘉幹貴(日立製作所→2009年オリックス2位)。社会人5年目ながら2位という高い順位で指名を受けたものの、入団交渉では契約金の提示が低く、一時はチーム残留の可能性も示唆したという逸話を持つ。摂津や武田のように1年目から主力に定着したわけではないが、4年目の2013年からは2年連続で50試合以上に登板するなど勝ちパターンの中継ぎに定着。その後大きく成績を落としたシーズンがありながらもこれまで14年間で413試合に登板し、ブルペンを支え続けている。走者を背負った場面にも強く、41歳で迎える今年も貴重な存在となりそうだ。

 一方の野手は投手に比べると成功例は多くないものの、その中で存在感を示したのが草野大輔(ホンダ本→2005年楽天大学生・社会人ドラフト8巡目)と渡辺直人(三菱ふそう川崎→2006年楽天大学生・社会人ドラフト5巡目)の2人だ。草野は社会人3チームを渡り歩き、29歳となる年にドラフト指名を受けてプロ入り。1年目は結果を残せなかったが、2年目には規定打席には届かなかったものの打率.320をマーク。4年目の2009年には規定打席に到達して打率.305という見事な成績を残した。入団当時にチームの指揮を執っていた野村克也監督も草野の打撃は「天才的だ」と話しており、そのバットコントロールとパンチ力を生かして通算526安打を放った。

 そんな草野以上に長く活躍したのが渡辺だ。26歳となる年のドラフト指名で、順位も低かったもののプロ入りから3年連続で100安打以上をマーク。チームメイトからの信頼も厚く、2010年オフにトレードで横浜に移籍した際には当時の主力選手から疑問の声が多くあがった。その後西武にも移籍し、2018年には古巣の楽天に復帰。14年で通算855安打を放っている。

 ここまでは成功例を紹介したが、期待されたほどの活躍を見せることができなかった選手も存在している。その代表例と言えるのが逆指名の形でプロ入りした樋口龍美(JR九州→2004年中日自由枠)と宮崎充登(ホンダ鈴鹿→2006年広島希望枠)の2人だ。ともに28歳となる年にドラフト指名を受け、即戦力としての期待は高かったが樋口は故障で一軍で1試合も投げることができず、宮崎も実働2年でわずか4勝という数字に終わっている。また養父鉄(台湾・兄弟→2001年ダイエードラフト7巡目)と深谷亮司(河合楽器→2001年オリックスドラフト13巡目)はわずか1年で戦力外となっており、深谷に至っては契約金0円でのプロ入りだった。彼らのような例を見ると、改めてプロの厳しさを感じずにはいられない。

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巨人2位の27歳・森田駿哉はどうなる?