私たちはあらゆる事態を覚悟しなければいけません。ワシントンの人々は、もはや1950年から1980年にかけて政権を担っていたような伝統的なエリートではありません。当時のアメリカには、かなり首尾一貫した白人プロテスタント、つまりアングロサクソンのエリートがいました。人々がジョークや批判を込めて、WASP(ホワイト・アングロ・サクソン・プロテスタントの略称)と呼んでいた人たちです。

 WASPのエリートは、いろいろな意味で馬鹿げていましたが、大統領としてルーズベルトとアイゼンハワーを輩出するなどしました。

 今のアメリカに典型的なのは、プロテスタントという中核の完全な崩壊です。現在、アメリカで起こっていることを理解するためには、プロテスタント文化がアメリカやイギリスにおいて「いかに重要であったか」を理解する必要があります。

 イギリスでも、プロテスタントの崩壊は並行して進んでいます。これは、最終的に、プロテスタント的価値観の完全な消滅という災厄にまで行きつくでしょう。つまり、それは「労働倫理」の消滅です。経済学における道徳の基本概念の消滅を意味します。そしてこのことが、すべての経済的機能不全の理解を可能にします。

 これにより、アメリカを支える宗教的な核が消滅したため、過去に戻ることはないと予測することが可能になります。これが、一般的な歴史であり、経済史です。

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