リベラルな体制とは、市民に言論や信仰、政治参加といった基本的な権利を保障することにより、政府の権力を制限するもののことです。公平な尊厳、そしてそうした権利を擁護していれば、リベラルな体制と言えるでしょう。
日本と韓国はともにリベラルな体制です。スウェーデンや米国も同じです。国の規模はそれぞれ異なります。スウェーデンは福祉国家で、米国や日本はそうとは言えません。ですが、市民の自由に介入する政府の権力を制限するという意味では、ともにリベラルな国家と言えるでしょう。
――リベラリズムと民主主義では、原則が異なります。リベラリズムと民主主義の緊張関係についてはどのように説明しますか。
フランシス・フクヤマ:リベラリズムと民主主義は互いに関係しています。互いを補う関係です。ですが、同一視はできません。民主主義とは「自由で公平な選挙によって人々が統治すること」です。
一方、リベラリズムは「政府の権力を制限するシステムのこと」です。憲法のようなものとも言えます。
リベラリズムは、「チェック&バランス」を発揮して、行政の横暴を防ぎます。法の支配の基本的な考え方は、政府に法を守らせることです。「法の外で行動をさせない」ということです。これが、自由民主主義のリベラルな側面です。