元子さんも負けん気が強いから、よくぶつかっていたよ。エネルギーがあるなって思っていたけど、それで腹が減ってキャピタルホテルでいい飯を食べていたんだろうね(笑)。馬場さんにとっては、アントニオ猪木さんの次に、いいパートナー、コンビだったんじゃないかな。
女子プロレスラーでいえば、長与千種が思い浮かぶね。クラッシュギャルズで一世を風靡していたとき、あるパーティーで俺とジャンボが彼女らを抱っこさせられたりもしたが、当時は「男のプロレスの真似しやがって」という感じで見ていたのが正直なところだ。
それが俺の引退前に6人タッグで一緒に試合をしたときに、タイミングとか間とか、プロレスというものをよく知っているなという印象を受けたんだ。プロレスは妙に節回しとかテンポが合うレスラーがいて、それは練習である程度まではいくけど、それ以上は教えてもできない。持って生まれたセンスであり、ムーブメントが時代とマッチするかしないかという要素もある。
長与のそのセンス、プロレス脳に唸って、試合後も娘相手に長与のことをずっと褒めたことを覚えている。
神取忍もがんばっていると思えた
その長与とタッグを組んだときに、対戦相手にいたのが神取忍だ。彼女は柔道日本一を背負って、よくあそこまでプロレスに同化できたなって感心するよ。そういう看板を背負ってるとプロレスというショービジネスに溶け込めないものだけど、長与の後でがんばっていると思えるのは神取だ。
なんてたって、参議院議員だからね。それでしっかり金を貯めて残したのも偉いね。秘書なんかは次の選挙のために金を使った方がいいとアドバイスしていたらしいけど、次の選挙に出るつもりもなく、しっかり金を残して、堅実で人生設計もしっかりしている。そういえばプロレスも堅実なスタイルだもんね。
女子プロレスラーで印象深いのがもう一人、アメリカのファビュラス・ムーラだ。俺が30歳くらいのときに、アメリカで50代の女子プロレスのチャンピオンだったのが彼女だ。
いまでこそ50歳の女子プロレスラーはいるけど、当時は珍しかったんだ。彼女をトップに20人くらいの女子選手を抱えていて、ムーラはプロモーター兼選手で、試合に女子選手を出したいときは彼女が一手に引き受けていたからね。
なかなかのやり手で、男のレスラーも気を遣っていたりするのを見て、この人は本物なんだと思ったよ。試合も見たけど、もう50代ということもあって、まあ、晩年の天龍みたいなもんだったけど。