撮影:マキエマキ

 撮影の細部にこだわるあまり、時間がかかってしまい、警察に通報されたこともある。東京・中野のアーケード商店街「サンモール」で、やはりホタテビキニ姿を撮影していたときだった。

「通常、街なかで撮るときは撮影開始から5分以内に撤収するようにしているんです。ところが早朝、サンモールで撮影していたら、店の看板の明かりが消えたので、撮り直したいなと思って、撮影を続けちゃったんです。そうしたら、通報されてしまった」

 太陽の光と看板の光が混ざると、写真の発色が不自然になる。それが嫌だった。

「お巡りさんが来たときは上着を着ていたので、『そのまま帰ってくれるなら何も言わないから、早く帰ってください』と、言われただけですみました」

 同様に大阪・通天閣を背景に写した作品もある。しかし、こちらはまったく問題なかったという。

「あそこはそういうことをしても平気な、不思議な場所なんです。ははは。となりは西成なんですが、『他人のことはわれ関せず』みたいな独特な空気があって、変な人がいても周囲は全然気にしない」

撮影:マキエマキ

ネットの規制は大いに結構

 最近、ネットの規制が年々厳しくなり、肌の露出の多い作品は表示されづらくなってきているという。

 ところが、マキエさんは不平を口にするどころか、むしろ「ネットの規制によって新境地を開いた」と言う。

「作品は、単に女の裸が写っていればいいっていうものじゃない。以前は肌を出すだけで、やったな、という感じがありましたが、衣装をまとうことでさらに先に進めた気がします。どんなキャラクターとして肌を出していくか、に重点がいくようになった。なので、ネットの規制は万々歳です」

 さらに、こう続けた。

「私が一番嫌いなのは、何の工夫もない素人のきたない写真なのに、フォロワー数が増えて、勘違いして、これは作品だ、とか言い出す人です。そんな傾向を苦々しく思っていたので、ネットの規制が強化されて、そういう人たちが淘汰(とうた)されていくのは真面目に作品を制作している者としてはありがたいです」

アサヒカメラ・米倉昭仁)

【MEMO】マキエマキ写真展「マキエの幸」
ギャラリーソラリス(大阪・南船場) 2月13日~2月18日

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