林里奈(公務員):都内在住の林です。娘が重度の知的障害のある自閉症で、特別支援学校小学部の6年生です。私は公務員ですが、娘の場合、スクールバスの迎えの時刻が私の始業時刻とほぼ同じなんです。そこで、休憩時間を30分短縮して始業時刻を遅らせる制度を利用したり、移動支援を利用してヘルパーさんにバスポイントまで娘を送迎してもらい、働き続けています。障害のある子は放課後等デイサービス(放デイ)を利用するのが一般的ですが、娘は地元の学童を利用しています。ただ、中学に上がると学童は利用できないので、今後、預かり時間の短い放デイに預け、どうやって仕事を続けていくか、悩んでいます。

スクールバスに乗れず

出本紀子(病院勤務、時短勤務中):広島の出本です。小5と小3の息子がいて、長男に不安障害、強迫性神経症があります。2年半前から学校に行けなくなりましたが、自宅以外に息子が過ごせる場所はなく、児童精神科医からは1人で留守番できるのは中学生ぐらいからと言われ、職場と交渉し、介護休業や介護休暇の取得を認めてもらい、ファミリーサポートなどを駆使してなんとか仕事を辞めずにきました。いまは介護時間(「育児・介護休業法」で定められた短時間勤務)を利用して働けていますが、今年の11月に期限を迎えます。仕事中、ピエロが綱を渡るシーンが頭に浮かび、「落ちたら終わり」という感覚をずっと持っています。

三村晋也(小学校教員、休職中):千葉県で公立小学校の教員をしています。来年度小学校に入学の次男が重症心身障害児で、人工呼吸器や経管栄養などの医療的ケアもあります。妻も教員でしたが、育休を最長3年間取得しましたが預けられる保育園が見つからず退職しました。さらに、2歳上の長男が不登校になり、妻が校内で付き添うことになり、次男の面倒をみるため、私が今年度1年間休職をとっています。

 次男の就学先については市の教育委員会から特別支援学校を勧められましたが、医療的ケアがあるためスクールバスに乗れず、田舎で移動支援の事業所もなく、親が片道1時間かけて送迎しなければなりません。でも、別々の学校にそれぞれ付き添うと、親が二人とも働けない。そこで、次男も長男が通う地元の小学校の特別支援級に通学し、妻が付き添う形を考えています。

──障害児育児と仕事の両立は日々も大変ですが、特に保育園入園や就学、中1、そして18歳の壁など、追いつめられるタイミングが幾重にもありますね。また、2021年に施行された医療的ケア児支援法には、家族の離職防止が明記され、住んでいる地域にかかわらず適切な支援が受けられるようにすることが「国や自治体の責務」とされましたが、三村さんのお話を伺うと地域格差も大きいと感じます。

次のページ