障害や医療的ケアのある子どもを育てる親たちがオンラインで集まった座談会。「障害児の親」といっても、子どもの障害は種類も重さもさまざまで、一律の制度ではこぼれ落ちてしまう人がいる。一方、個別の状況に配慮した柔軟な制度を設ける企業も出始めている(zoom画面を撮影)
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 仕事と育児の両立のための制度は徐々に整ってきたが、ほとんどが健常児の育ちを想定したもの。成長しても一人で留守番や登下校できない障害児や医療的ケア児らを育てる親たちが働き続けるにはさまざまな壁が立ちはだかる。両立に悩む親たち5人がオンラインで語り合った。

 仕事と育児の両立のための制度は徐々に整ってきたが、その多くは健常児の育ちを想定したもの。成長しても一人で留守番や登下校できない障害児や医療的ケア児を育てる親たちが働くには幾重もの壁が立ちはだかる。両立に悩む親たち5人がオンラインで語り合った。AERA 2024年2月5日号より。

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──司会の深澤です。私自身も脳性まひの長男がいるので、登下校や療育、リハビリへの付き添いなどと仕事との両立にとても苦労しています。みなさんはどのように働き続けてきたのでしょう。

神山春花(アパレル勤務、育休中):仙台の神山と申します。2歳の長男がダウン症で合併症などもあり、まだ自分で歩行や食事ができません。

 長男の出産後、市役所に保育園について問い合わせたら、「特別支援枠の空きはないから、入るのは難しいと思った方がいいよ」と言われ、どうしたらいいのかと悩み、2人目を産んで育休期間を延ばす選択をしました。仙台市ではこれまで、保育園は軽度から中程度までの障害児しか受け入れがなかったんですけど、昨年、同じ境遇の親たちと団体をつくり、市に要望書を提出して交渉を重ね、来年度から重度の障害児も入園の対象となりました。先日、長男の入園も決まって、ほっとしているところです。

総勢10人のヘルパー

工藤さほ(新聞社勤務):障害の重いお子さんにも門が開いたっていうのは、ものすごく大きな前進ですね。

 私は都内在住で、高1と中2の娘がいます。上の子が重度の知的障害を伴う自閉症で、私立の特別支援学校に通っています。片道1時間半近くかかり、登下校の付き添いは、福祉サービスの移動支援を利用し、総勢10人のヘルパーさんにお願いしています。ただ、朝はラッシュ時間帯で、娘の特性では公共交通機関を利用することが厳しいんです。公共交通機関でないと移動支援が受けられないため、全額自費で送迎をお願いしています。

 今の悩みは、特別支援学校卒業後の居場所が限られる「18歳の壁」をどうするか。(常時介護を必要とする障害者が日中過ごす)生活介護事業所は午後3、4時には終わってしまい、親はとてもフルタイムでは働けません。健常のお子さんは18歳といえば手が離れますが、障害児の場合、より親の負担が増すのが悩みです。

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