特別支援学校に学童を
林:工藤さんがおっしゃるように、障害のある子にも選択肢があって、自分らしくいられるような居場所が選べたらいいのにな、というのは上の子の中学受験を通してすごく感じました。中学受験では各学校が「うちの学校はこんなことやってます」と猛アピールし、おもてなしもすごい。一方で、障害のある娘には選択肢がない。中学に入っても部活動もなく、放課後の居場所は放デイだけ。そのなかで娘が幸せに楽しく過ごせる場所が見つかるのかな、と考えてしまいます。積極的に選べるものが少ないのが悲しいです。
工藤:それに、多くの小学校では校内や近くに学童保育が併設されているのに、特別支援学校には全国的にありませんよね。北海道など雪深い地域だと、学校から放デイまでの道路が大渋滞して到着する頃には子どもが疲弊しきっていると聞きます。林さんがおっしゃる地域とのつながりは切れてしまうかもしれないけれども、特別支援学校内学童は障害児の選択肢の一つとしてどうでしょう。
林:学内学童は必要だと思います。特別支援学校に通う子どもの多くは、スクールバスで長い時間移動して通学しています。放課後の移動がなくなると身体的にも精神的にも負担が軽減されます。また、放デイは毎日利用できるとは限らないですし、複数の事業所の掛け持ちも多いです。慣れた場所で毎日利用できるのであれば子どもの気持ちも安定しますし、親も安心して働けます。特別支援学校に通わせたいけれど、学内学童がないから、小学校内の特別支援学級を選んでいる家庭もありますし。
三村:いまは特別支援学校に学童がないので仕事をしていない親御さんの中にも、学童があれば働きたいという潜在的ニーズはあるんじゃないかと思います。
工藤:皆さんとお話しして、私たちのような親の存在を、声を上げて見える化していくことがとても大事だと感じました。今日はありがとうございました。
(編集部・深澤友紀)
※AERA 2024年2月5日号に加筆