メジャーリーグの公式サイト『MLB.com』が発表したの戦力ランキング(1月2日時点)でもドジャースがブレーブスに次ぐ2位なのに対し、8位と遅れをとっている。

 現地のメディアでも「もはや悪の帝国はヤンキースではなくドジャース」だという論調も少なくない。特に大谷に次ぐ移籍市場の大物であった山本を獲得した後には、新たな悪の帝国が誕生したという声が大きくなった。

 だが、野球ファンの間ではドジャースがいかにお金を使って選手の補強をしようとも、まだ悪の帝国を名乗るのには早いという声もある。

 というのもドジャースは11年連続でプレーオフに進出しているものの、ワールドシリーズを制したのはコロナ禍でシーズンが60試合に短縮された2020年のみ。その他のシーズンでは2017年から2年連続でワールドシリーズまで駒を進めているが、いずれも敗れており、プレーオフでの最初の戦いである地区シリーズで敗れ去っているシーズンも目立つ。

 そもそも、悪の帝国の名づけの親でもあるレッドソックスのラリー・ルキーノ球団社長がヤンキースをそう呼んだのも大型補強はもちろんだが、当時のヤンキースが無類の強さを誇っていたのが大きな理由だ。

 ヤンキースは1996年からの6年間で5度ワールドシリーズに出場し、4度世界一となるなどメジャーで王朝を築いていた。そして、地区シリーズで敗れた2002年のオフに再び世界一の座を取り戻すべく、移籍市場の投手でもっとも注目されていたキューバ出身のホセ・コントレラスと、打者で大物の1人だった松井秀喜を両獲りするなど、なりふり構わない動きを見せた。それに対してルキーノ球団社長が悪の帝国(Evil Empire)という表現を用いたことで広まった言葉だ。

 そういった意味でも、現地のファンもまだドジャースは悪の帝国になり切れていないという評価を下している。

 米国の掲示板サイト「Reddit」の「ドジャースは新たな悪の帝国か?」というスレッドにも様々な意見が書き込まれているが、ドジャースには憎たらしいほどの強さが欠けているという意見がほとんどだ。

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“アンチ”を増やすことが大谷と山本の役割?