家宅捜索のため池田佳隆議員の事務所に到着した係官ら=2023年12月27日午後、名古屋市天白区

 政界を揺るがせている自民党派閥の裏金事件。26日召集の通常国会を前に、岸田文雄首相は「政治刷新本部」を発足させたが課題は多い。時事芸人・プチ鹿島さんはこの問題をどう見るのか。AERA 2024年1月29日号より。

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 裏金が何に使われていたんでしょう。自分の地位を上げるために、選挙で勝つために使われていたとしたら、選挙、もっと言うと民主主義から一番遠いことをしていたのかなと思います。

 アベノミクスという政策が、大企業に利益をもたらし、利益のお礼のために大企業はパーティー券を買っていたんじゃないでしょうか。昨年のAERA12月25日号で、星浩さんがそう書いていて、なるほどと思いました。

 政治家って「公の人」ですよね。自分から手を挙げて公人になった人じゃないですか。聞かれたことに答えなくちゃいけないと思うし、どんな活動にいくら使ったか1円でも公開するのが当たり前だと思うんですよね。

「政治に金がかかる」と言う人もいるけど、「いや、かかるなら、どれぐらいかかったかも見せてほしい」なんですよ。「この政治家はこれぐらいお金がかかるけど活動的。しょうがない、この人は仕事ができるから一票を入れる」と思うかもしれないし、「この人はお金がかからないけど、全然活動してない」「お金をかけているけど、活動的じゃない」と、いろんな判断ができると思うんですよね。

 皮肉を言うと、今回の裏金問題は、他の国ではここまで深刻にはならなかった気がします。というのは、他国は政権交代があるからです。今の日本は、よほどじゃないと政権交代が起きないであろう、自民党の自浄作用に期待するしかない、そういう絶望感があると思うんですよね。ただ、政権交代すればいいのではなくて、政権交代するかもしれない緊張感が、与党にも野党にもあれば、こんなことは起きないんじゃないでしょうか。

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