災害時の生理用品の必要性の理解はなかなか進まない。画像はイメージ(GettyImages)
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 被災地で生理用品はぜいたく品――。近年、災害が起きるたびに一部の男性から上がる、生理用ナプキンの支援を軽視する声。今回の能登半島地震でも、すでにSNS上などで散見される。だが実際、避難所で生理になった女性たちは想像以上の困難に見舞われ、人知れず対処してきた。東日本大震災で被災した女性たちにインタビュー調査をした、国際医療福祉大学・保健医療学部の及川裕子教授に「災害と生理」の実情を語ってもらった。

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 女性にとって生理のケアがいかに切実な問題か。「メッセージを発しなければならない」と取材に応じてくれた及川教授は、まずは看護学の視点から、健康面のリスクを挙げた。

「男性の尿道が約20センチあるのに対し、女性は4センチほど。男性に比べてぼうこうに細菌が侵入しやすいため、下着を替えられなかったり、同じナプキンを当てっぱなしにしたりすれば、ぼうこう炎になる可能性があります」

 だが、このような医学的な知見がなかったとしても、生理についての基本的な知識があれば、「生理用品はぜいたく品」などとは言えないはずだ。

 月に一度のペースで訪れる生理は、3~7日間にわたって出血が続き、期間中に使うナプキンの枚数は平均で20~25枚ほど。一般的に月経開始から3日目までは経血の量が多く、2~3時間程度でナプキンが血でぐっしょりとぬれ、吸水量の限界を迎えることもある。授業中や会議中などで、どうしてもこまめにナプキンを替えられず、経血が漏れて下着や服を汚していないか冷や汗をかく経験は、女性にとっては“あるある”だ。

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大谷百合絵

大谷百合絵

1995年、東京都生まれ。国際基督教大学教養学部卒業。朝日新聞水戸総局で記者のキャリアをスタートした後、「週刊朝日」や「AERA dot.」編集部へ。“雑食系”記者として、身のまわりの「なぜ?」を追いかける。AERA dot.ポッドキャストのMC担当。

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血でドロドロに汚れた下着