能登半島地震の被災地、石川県穴水町の避難所入口にあったホワイトボード。女性用品の用意は「少々」だった(撮影:大谷百合絵)

「落ちていたら拾ってきてほしい」

「思春期の男の子だと、夢精をして下着を汚すことがありますが、精液の量と経血の量はケタ違い。ナプキンが手に入らないがゆえに、血でドロドロに汚れた下着を履き続けるなんて、あまりに残酷です」(及川教授)

 及川教授は2014年、「避難所におけるウィメンズヘルスの課題」の調査のため、東日本大震災で被災した女性10人にインタビューを行った。

 その結果、「誰でもいいからナプキンをわけてもらおうと、浸水をまぬがれた民家に行って助けを求めた」「街を見回りに行く男性陣に『ナプキンが落ちていたら拾ってきてほしい』とお願いした」など、なんとしてもナプキンを確保しようとする切実な姿が浮き彫りになったという。

 一方、「助けを求めに行った民家は、おばあさんしか住んでいなかった」といった理由から、ナプキンを手に入れられなかった女性たちは、ティッシュペーパーやトイレットペーパーでなんとか対処していた。

 だが、ナプキンのような防水性のビニールシートはついていないため、経血が漏れるリスクは格段に高まる。実際、避難所には血で汚れた服を着ている若い女性もおり、その姿にいたたまれなくなった周りの女性たちが、近隣の民家を訪ねて着替えをもらいに行ってあげたそうだ。

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女性の体のことを何も知らない