筋腫があっても症状がないことも多いため、検診や不妊治療の際に偶然に発見されるケースがほとんどです。ただし、粘膜下筋腫は過多月経などの症状が起こりやすいため注意が必要です。
「漿膜下筋腫では、5cmを超える大きなものでも全く症状がないことも珍しくありませんが、粘膜下筋腫は1、2cmの小さなものでも月経のときの出血量が非常に多くなるなど女性にとってつらい症状が出やすく、いちばんやっかいなタイプといえるでしょう」(田畑医師、以下同)
粘膜下筋腫では、出血量が多くなる過多月経や、月経が長引く過長月経、月経痛などの症状がみられます。また漿膜下筋腫は、大きくなると膀胱を圧迫して頻尿になることもあります。筋腫による症状だとは気づかずに受診し、検査をして筋腫が発見されることも珍しくありません。
症状があって受診した患者に対して、まずは問診で月経の状態や症状、子宮がんの家族歴などを確認し、超音波検査や内診などの検査で子宮の大きさや筋腫の有無を確認します。悪性の病気が疑われる場合には、MRIや血液検査をおこなうこともあります。
子宮筋腫は良性の腫瘍のため、大きくなることはあっても「それが悪性に変わることはほとんどない」と田畑医師は話します。
「ただ、筋腫だと思っていたら悪性の肉腫だったということもあるので、診断時にしっかり確認することが必要です。また、筋腫を小さくするための薬物療法をしても、あるいは閉経してからも、大きくなるものは肉腫を疑います」
症状や筋腫の大きさ、場所、妊娠や出産への希望などにより治療を考える
筋腫があっても、「すべての人にすぐ治療が必要なわけではない」と田畑医師は話します。
「症状がなければ経過観察を続け、治療をしないまま閉経を迎える人もいます。過多月経などの重い症状があって日常生活に支障をきたす場合や、筋腫が大きくなる場合などは治療を考えます」
子宮筋腫の治療法には、薬物療法と手術があります。薬物療法では、鎮痛剤や低用量ピル、筋腫を成長させるエストロゲンがつくられるのを抑えるGnRH(ゴナドトロピン放出ホルモン)アナログ製剤などが使用されます。ほかに、黄体ホルモンを放出する器具を子宮内に挿入することで過多月経を改善する「子宮内黄体ホルモン放出システム」という治療もあります。