薬物療法で症状が改善しない人、大きい筋腫がある人、筋腫により妊娠しにくいことが考えられる人などは手術を検討します。

 子宮筋腫の手術には、筋腫だけを切除する「子宮筋腫核出術」と、子宮をすべて切除する「子宮全摘術」があり、近年では腹腔鏡による手術が増えています。

「核出術はほとんどが腹腔鏡でおこなわれるようになっています。ただし、筋腫が大きい場合や、悪性の肉腫の疑いがある場合は開腹手術になります」

子宮内膜症では月経困難症の症状が起こりやすい

 子宮内膜症とは、本来は子宮の内側にある子宮内膜が子宮以外の場所にでき、増殖する病気です。多くできるのは、卵巣や卵管、子宮と腸の間のくぼみ(ダグラス窩)などで、まれに肺や腸にできることもあります。卵巣にできることが最も多く、月経のたびに内膜組織から出血するため、血液がたまって卵巣に嚢胞(のうほう)という袋状の病巣(子宮内膜症性卵巣嚢胞)ができます。中にたまった古い血液がチョコレートのように見えることから「チョコレート嚢胞」ともいわれます。

 20~30代に多く、月経がある人の10人に1人がかかる病気といわれています。子宮筋腫と同じくこの病気もエストロゲンの影響を受けて進行しますが、近年、子宮内膜症は増えています。1人の人が出産する回数が減っていること、出産する時期が遅くなっていることなどからエストロゲンにさらされる期間が長くなっていることが理由と考えられます。

 子宮内膜症は、強い月経痛など月経困難症を伴うことが多く「かなりつらい症状に悩まされて受診する人も多い」と田畑医師は話します。進行すると、月経痛のほかに性交痛、排尿痛、排便痛、慢性的な下腹部痛などがみられることもあります。子宮内膜症の症状とは気づかずに消化器科などを受診し、婦人科を紹介されるケースもあるといいます。

 診断は、問診や超音波検査、内診などによりおこないます。

「超音波検査で卵巣に腫れやチョコレート嚢胞があるか、ダグラス窩に癒着があるか、内診で子宮の後ろ側に圧痛があるかなどをみて診断します。比較的診断しやすい病気といえるでしょう」

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子宮内膜症は、不妊や卵巣がんのリスクになることも