40代女性の3~4人に1人が持っているといわれる「子宮筋腫」。そして月経がある人の10人に1人がかかるといわれる「子宮内膜症」。どちらも女性ホルモンの影響で進行する病気ですが、子宮筋腫はすべての人に治療が必要なわけではありません。一方、子宮内膜症は痛みなどの月経困難症を伴うことが多く、つらい症状があれば少しでも早く婦人科を受診し治療することがすすめられます。妊娠・出産とも関わりが深い病気のため、年齢や症状、妊娠・出産の希望などにより、十分に医師と相談して治療法を選ぶことが大切です。
【病院ランキング】子宮筋腫・子宮内膜症の手術数が多い病院トップ20
本記事は、2024年2月下旬に発売予定の『手術数でわかる いい病院2024』で取材した医師の協力のもと作成し、先行してお届けします。
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子宮筋腫は、子宮にできる良性の腫瘍(こぶ)です。30~40代に多くみられ、40代では3~4人に1人が持っているといわれます。
筋腫は女性ホルモンのひとつであるエストロゲンの影響を受けて大きくなります。エストロゲンは月経周期とともに放出され、女性らしさを保つなど大切な役割を果たしますが、その働きが過剰になると、子宮筋腫や子宮内膜症など女性特有の病気を起こします。
そのため、一度できた筋腫は閉経するまで自然に治ることはありませんが、進行の速さは人それぞれで、閉経後は少しずつ小さくなっていきます。東京女子医科大学病院産婦人科主任教授の田畑務医師は、子宮筋腫になりやすい人について、こう話します。
「家族歴があるとやや起こりやすく、お母さんに筋腫があると娘さんが筋腫を持つ確率が、そうでない人より2倍に高まるといわれます。初潮が早い人はなりやすいという報告もありますが、反対の意見もあるため定かではありません」
筋腫があっても症状がないことも多い
子宮の壁は内側から子宮内膜、子宮筋層、漿膜(しょうまく)という3層構造になっています。子宮筋腫には、子宮の外側(漿膜)にできる「漿膜下筋腫」、子宮筋層にできる「筋層内筋腫」、子宮の内側(子宮内膜)にできる「粘膜下筋腫」という三つのタイプがあり、それぞれ異なる特徴があります。