「ウルトラクイズ」「アタック25」「高校生クイズ」……。「クイズ文化」は、これまでテレビに支えられ成長してきた。しかし、近年テレビの世界を飛び出して、ますます裾野を広げている。クイズ界で起こる地殻変動とは──。
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静寂と緊張感が漂う一室に、聞き覚えのある音楽が流れる。「ポーン!」という音と共に、男性の前のランプが点滅する。「secret base!」、彼の解答に、「ピンポンピンポン!」、正解を知らせる音が響く。
ここは、東京都文京区にある日本初のクイズ専門店「QUIZ ROOM SODALITE(クイズルーム ソーダライト)」。早押しボタンを使用した本格的なクイズが楽しめるお店だ。クイズ専門誌「QUIZ JAPAN」の大門弘樹編集長が、2018年1月にオープンした。
この日は、10人のクイズ愛好家が、休憩をはさみつつ2時間ほどイントロクイズを楽しんでいた。問題を解答するごとに各人の趣味嗜好が見えてきて面白い。「自分と同じ年代に違いない」と共感を抱き、「この人はアイドルが好きなのかも」と想像をかきたてられた。
この日参加していた30代男性は、「アーティストの曲は冒頭からそれぞれの個性が出ている。イントロクイズはそれを手掛かりに答えを絞っていく過程が楽しいです」と話す。
クイズ番組の歴史は意外と古い。NHKラジオ第1で1946年に放送が開始された「話の泉」が始まりとされる。その後、時代は下り、クイズ番組の主戦場はテレビへと移っていく。
中でも、77年から始まった「史上最大!アメリカ横断ウルトラクイズ」(以下、ウルトラ)はいまでも語り継がれる伝説の番組だ。この大会で優勝すべく、全国の大学でクイズ研究会の設立が相次いだ。
第13回大会の優勝者、長戸勇人さんは当時、立命館大学クイズソサエティー(RUQS[ルックス])のメンバーだった。ウルトラとの出会いを「それまでの人生で一番の衝撃だった」と話す。