「それまでは『クイズ=テレビ』だったんです。それが崩壊して、クイズの楽しみ方や、やる意義など、根源的な問いを突き付けられました」(大門さん)
「ロスジェネ世代」が出した答えは、自らクイズ大会を開催するということだった。
こうして、90年代後半から大会数が増加していき、問題の難問化、早押しの高速化が進んでいった。
そんな中、2008年の「全国高等学校クイズ選手権(高校生クイズ)」が、それまでの青春ストーリー的な路線から、難問を出題する知力重視の「知力の甲子園」という路線を取るようになった。この傾向は12年までで終わったが、その後もテレビでは、「頭脳王」(11、13~16、18~21年)や「東大王」(16、17年~放送中)、「超逆境クイズバトル!! 99人の壁」(17、18~21年、その後不定期放送)など、本格的なクイズ番組が人気を博す。
10年、11年の「高校生クイズ」を連覇した開成高校のメンバーの一人が伊沢拓司さんだ。現在、伊沢さんが16年に立ち上げたWEBメディア「QuizKnock(クイズノック)」とそのメンバーたちがクイズ界に大きな変化を巻き起こしている。
大門さんは彼らを「時代の寵児」と評す。
「SNSによってテレビの視聴習慣が変わり、感想がリアルタイムで可視化されるようになった。クイズノックはそういった流れにうまく乗っている。時代を掴み取る力があるのだと思います」
クイズノックは、17年、YouTubeチャンネルを開設。登録者数200万人、通算動画再生回数20億回(3月17日現在)を超す人気チャンネルに成長した。
彼らの活動はこれにとどまらない。書籍も多数出版しており、クイズ関連の書籍だけではなく、学び方をテーマにした教育本なども手掛けている。このほかにも、様々な企業とコラボした謎解きイベントの開催やゲームアプリの開発、さらには、22年に稼働を開始したアーケードクイズゲーム「QuizKnock STADIUM」の制作協力など、幅広く活躍している。