「正解が出て自分もその事柄を知っていると、『君もそれ知ってるんだ!』と嬉(うれ)しくなる。解答者と出題者、解答者同士の間で起こるコミュニケーションが魅力だと思います」

 永田さんは、「クイズを接点に自分の世界が広がる」と話す。

「クイズはこの世の森羅万象を対象にしているし、クイズを趣味にしている人の幅が広い。また、それまで聞いたこともなかったことが、『知っている事柄』になり、『答えられる事柄』になっていく達成感もあります」

「クイズには悪魔的な面白さがある」とは長戸さん。

「これがなかなか伝わらないんですが、クイズには、それを基準に人生を変えてもいいぐらいの魅力がある。RUQSのメンバーは、留年しようが会社に落ちようがクイズさえ楽しめればそれでいい、と全青春をクイズにつぎ込んでいました」

 少しずつではあるが、この「悪魔的な面白さ」が、伝わり始めたと感じているという。

「おそらく、いまが一番、一般の人との垣根がない時代ではないかと思っています。それはソーダライトやクイズノックが、クイズの裾野を広げてくれていることが大きい。まずは興味を持ってもらうことが始まりで、そこを彼らが担ってくれています」

 終戦直後から続いてきた「クイズ文化」。それはテレビに支えられてきた。大門さんは、その文化が「ようやく自分で根をはってきた」と話す。

「これまでクイズは、テレビを栄養源に成長してきました。そのクイズがここ10年くらいで、やっとテレビから根を切っても自生できる『生き物』になってきたと思います」

(本誌・唐澤俊介)

週刊朝日  2023年4月7日号

暮らしとモノ班 for promotion
2024年の『このミス』大賞作品は?あの映像化人気シリーズも受賞作品って知ってた?