この問題についてはもっと議論が必要ですが、少なくとも下げれば下げるほどよいわけではありません。特に女性はやや高めでも問題はありません。コレステロールを下げる薬の使用についてはもっと慎重になるべきでしょう。
私のクリニックでも、薬で総コレステロールを130mg/dLまで下げていて、うつ症状のような不調に苦しんでいた人が、その薬をやめて元気になられたケースがありました。生活習慣を改善して全身状態が良くなると、LDLが減少して、HDLが増加する現象は多くの人で見られます。薬でコレステロール値を下げる前に、できるだけ生活習慣で炎症を抑えることを目指しましょう。
食事では、卵やエビ、イクラを食べるとコレステロール値が上がると言われ、根強く信じられていますが、実は、これらの食品がコレステロールを上げるという証拠はどこにもありません。
強いて言えば、動物性脂肪、特に牛乳やヨーグルトなどの乳製品を多く食べているとLDLコレステロールを上げる傾向があるようですが、そもそも、血中のコレステロールの約8割は肝臓で作られていて、食品由来のものは全体の2割にすぎませんので、それほど神経質になる必要はありません。
ただし、体質的にどうしても上がりやすい人もいますし、健康診断などで指摘されて気になる人もいるでしょう。その場合も薬の服用は慎重に、主治医の先生と相談しながらなるべく食事や生活でコントロールすることが大切であることを強調しておきます。
なお、中性脂肪は、体脂肪の大部分を占める血液中の脂質成分です。中性脂肪が増えすぎると肥満やメタボリックシンドロームなど健康上のリスクにつながります。アルコールの飲みすぎ、甘いものや糖質の摂りすぎ、または運動不足などが中性脂肪値を高くする要因ですので、こちらも気になる人は、まず生活習慣を見直しましょう。