※写真はイメージです(Getty Images)

 中高年になると健康診断で気になるスコアといえば、コレステロール値もその一つ。高い数値が出てしまい、薬でコレステロール値を下げる人も多いが、不調に悩まされるケースもあるという。ハーバード大で栄養学を学び、アンチエイジングクリニックを開院した医師・満尾正氏は、「薬の使用はもっと慎重になるべき」と警鐘を鳴らす。朝日新書『ハーバードが教える 最高の長寿食』から一部を抜粋、再編集して解説する。

【表】血液ドロドロが心配な人はこちら

* * *

コレステロール・中性脂肪値に問題がある人

 コレステロール値は、血圧同様、中高年になると上がってくる人が多いものです。「病気にならないようにコレステロール値を下げなければ」と信じている人も多いですし、健康診断で数値に問題があると指摘されてコレステロール値を下げる薬を処方されている人もいるでしょう。

 しかし、そもそもコレステロールは、細胞膜を作る原料となる大切な栄養素です。ホルモンやビタミンDもコレステロールからできていますし、脳神経細胞を作るのにもコレステロールが欠かせません。コレステロールをむやみに減らしてしまうことは、健康長寿のためにはとても危険なことなのです。

 コレステロールにはHDLコレステロールとLDLコレステロールの2種類があります。一般にHDLは善玉コレステロール、LDLは悪玉コレステロールと呼ばれていますが、これはLDLが高いと心臓疾患が起きやすいという理論が背景にあったためです。しかし、近年研究が進み、心臓疾患の真の原因は組織の炎症にあるという説が有力になっています。

著者プロフィールを見る
満尾正

満尾正

満尾 正(みつお・ただし) 満尾クリニック院長・医学博士。日本キレーション協会代表。米国先端医療学会理事。日本抗加齢医学会評議員。1957年、横浜生まれ。1982年、北海道大学医学部卒業。内科研修を経て杏林大学救急医学教室講師として救急救命医療に従事。ハーバード大学外科代謝栄養研究室研究員、救急振興財団東京研修所主任教授を経た後、2002年、日本初のキレーション治療とアンチエイジングを中心としたクリニックを赤坂に開設、2005年、広尾に移転、現在に至る。主な著書に『世界の最新医学が証明した長生きする食事』『食べる投資 ハーバードが教える世界最高の食事術』(アチーブメント出版)、『世界最新の医療データが示す 最強の食事術』(小学館)、『医者が教える「最高の栄養」』(KADOKAWA)など多数。

満尾正の記事一覧はこちら
次のページ
LDLを薬で下げるリスクとは