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 中高年になると健康診断で気になるスコアといえば、コレステロール値もその一つ。高い数値が出てしまい、薬でコレステロール値を下げる人も多いが、不調に悩まされるケースもあるという。ハーバード大で栄養学を学び、アンチエイジングクリニックを開院した医師・満尾正氏は、「薬の使用はもっと慎重になるべき」と警鐘を鳴らす。朝日新書『ハーバードが教える 最高の長寿食』から一部を抜粋、再編集して解説する。

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コレステロール・中性脂肪値に問題がある人

 コレステロール値は、血圧同様、中高年になると上がってくる人が多いものです。「病気にならないようにコレステロール値を下げなければ」と信じている人も多いですし、健康診断で数値に問題があると指摘されてコレステロール値を下げる薬を処方されている人もいるでしょう。

 しかし、そもそもコレステロールは、細胞膜を作る原料となる大切な栄養素です。ホルモンやビタミンDもコレステロールからできていますし、脳神経細胞を作るのにもコレステロールが欠かせません。コレステロールをむやみに減らしてしまうことは、健康長寿のためにはとても危険なことなのです。

 コレステロールにはHDLコレステロールとLDLコレステロールの2種類があります。一般にHDLは善玉コレステロール、LDLは悪玉コレステロールと呼ばれていますが、これはLDLが高いと心臓疾患が起きやすいという理論が背景にあったためです。しかし、近年研究が進み、心臓疾患の真の原因は組織の炎症にあるという説が有力になっています。

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LDLを薬で下げるリスクとは