また、特に高齢者の場合に顕著なのですが、血圧が低くて脳の血流を保てないと、ふらつきが起こったり、ちょっとした拍子に倒れて転倒から骨折といった事故につながりかねません。「夕食後、アルコールを飲んで、降圧薬も服用した後に入浴」という条件が揃うと、血管が過度に拡張し、血圧が急激に下がって意識を失ってしまい、入浴事故につながるケースが少なくありません。特に気をつけていただきたいと思います。

 では、そもそも血圧はどれくらいの値を目安にすればいいのでしょうか。これには基準がいくつかあります。

 アメリカの心臓病学会の基準(2017年)は「収縮期血圧130mmHg、拡張期血圧80mmHg」です。日本高血圧学会の診断基準(2019年)では、診察室での「収縮期血圧140mmHgまたは拡張期血圧90mmHg」以上の場合を高血圧とし、自宅で測る家庭血圧は少し低く「収縮期血圧135mmHg、拡張期血圧85mmHg」としています。

 私は、大まかに言って、上の血圧が「年齢+90」以下であれば問題ないと考えています。高齢になればある程度、全身の動脈硬化が進みますから、脳の血流を保つためには「少し高め」の血圧が必要なのです。特に糖尿病の人は動脈硬化が進んでいるため、上の血圧を140mmHg以下に下げるべきではないと言われています。

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