12月21日に2023年シーズンの全選手の年俸更改が完了した。日本一となったことで球団の懐が潤ったこともあり、今シーズンの年俸総額は昨季から8億円以上増加。今までは保留や越年での銭闘も驚きはなかったが昨年は波風立たない暖冬更改だった。
「近年では投手の岩崎優、岩貞祐太、西勇輝、捕手の梅野がFA権を取得したが全選手を引き留めている。現在の好循環が続くようならば提示条件などに関しては選手側からの不平不満は考えられない。今シーズンのオフも全員が残留してくれる可能性はあると思っている」(阪神OB)
阪神がFA権を取得した選手たちに対して他球団に負けない条件を提示できる力があるのは間違いないなさそうだ。しかし野球選手はお金だけではなく、起用法などプレーするチームに望むものはそれぞれ違う。昨オフに中田翔が巨人から自ら自由契約となって中日に移籍したように、「控えに回るなら他球団で勝負したいと考える選手もいる」(阪神OB)という部分が唯一の心配だという。
「例えば糸原は2022年の秋季キャンプに呼ばれなかった際には進路を熟考した。昨季の青柳も投げられる状態でも登板機会に恵まれないことがあり落ち込んでいた。勝つことで全てがうまく回っているが、歯車が噛み合わなくなった時にどうなるのか」(阪神担当記者)
糸原や青柳はポストシーズンを含めた重要な場面で起用され結果を残した。岡田監督の選手掌握術が巧みであったのと同時に本人たちもプロとして意地を見せた。しかし、今後レギュラーシーズンなどで出番が減ることも考えられる。
温情を感じる起用をすることもある岡田監督だが、2年連続の日本一を目指す中で時に“冷遇”される選手も出てくるだろう。それがオフにFAとなる選手になることも十分ありえるはずだ。
「岡田監督は勝負に関しては非情になれる。選手たちも十分理解しているので、自身の選手生活についてどうか考えるか。素晴らしいチームになりつつあるので、ずっと一緒にプレーしたいとは思っていますが……」(阪神関係者)