阪神・坂本誠志郎

 38年ぶりの日本一に輝くなど2023年のプロ野球界の話題を独り占めにした感もある阪神。これから全盛期を迎えるであろう選手も多く、黄金時代の到来も予感させるが、そのためには乗り越えなければいけないハードルがある。

【写真】2024年オフ「FAの目玉」と予想される阪神の選手がこちら

 それは今シーズン中に、昨年の優勝にも貢献した主力がそろって国内FA権を取得する見込みだからだ。継続的に勝てるチームになるためにも、シーズンオフに彼らを引き留められるかに早くも注目が集まっている。

「(昨季のチームは)若手選手の成長があり中堅、ベテランと選手層のバランスが良かった。故障者や不調の選手が出てもチーム一丸となってカバーできた。岡田彰布監督の百戦錬磨とも言える采配もお見事。最後まで安心していられるシーズンだった」(阪神OB)

 レギュラー野手8人中、外国人ノイジーを除いた7人が生え抜き選手で固めることができた。編成を含めたドラフト戦略、育成、選手起用の全てが噛み合った組織として会心の勝利とも言える。

「岡田監督も積極的に意見して徹底的に議論して作り上げたチーム編成でまさに組織力の勝利だった。外部からの補強に頼らず勝つことができたのは素晴らしい。しかし同時に生え抜き選手のFA問題が同居するのも確かで、今後はその対応も重要になる」(阪神担当記者)

 2024年シーズン中に国内FA権を取得する見込みの選手はそろって近年チームを支え続けてきた面々だ。最多勝2度を誇る青柳晃洋、梅野隆太郎の怪我で昨季はシーズン途中からマスクを被り続けた捕手の坂本誠志郎、不動の四番・大山悠輔、ユーティリティー性に富む糸原健斗の両内野手。そして代打などで勝負強い打撃が光る原口文仁だ。

 毎年FA権を取得する選手が出るのは珍しいことではないが、これほどまでに主力が同時期に権利を得ることは決して多くはないだろう。

「以前はドケチ球団とも言われたが今はそんなことない。阪急阪神ホールディングス内でも球団は最優良企業なので、お金をしっかり使ってくれるようになった。必要な選手に対しては相応の金額提示をして引き止めるはず」(阪神関係者)

次のページ
良い条件は提示できそうだが…