健康という最高の財産を失わないために、食事の栄養バランスを意識する人も少なくないだろう。ハーバード大学で栄養学を学び、アンチエイジングクリニックを開院した医師・満尾正氏は、健康長寿食として「和食」を勧める。中でも1975年頃の和食が栄養学的に最も優れているという。朝日新書『ハーバードが教える 最高の長寿食』から一部を抜粋、再編集して解説する。
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1975年頃の和食を見直そう
日本人の食事を考えるにあたって、興味深い研究があります。1960年、1975年、1990年、2005年と15年ごとにその年の日本人家庭の1週間分の食生活の内容を再現し、その栄養成分の比較を行ったものです。さらにそれぞれの食事内容を凍結乾燥後、8カ月間にわたりマウスの餌として与えて変化を観察したものです(注)。
1960年代の食事内容では、たんぱく質や脂質が少ない傾向が見られました。この頃は生活習慣病よりも低栄養による疾病が多かった時代です。経年ごとにたんぱく質と脂質の増加が見られるのに対して、炭水化物の占める割合が減少していました。中でも脂質の増加傾向が顕著であり、2005年の食事では1960年と比較してほぼ3倍にまで増加していました。