これにはいろいろな原因が考えられますが、一つは食生活の変化が指摘されています。1945年の終戦後から1972年まで、沖縄県ではアメリカの統治が続き、肉食やハンバーガーといったアメリカ型の食事が浸透していきました。現在、そうした食文化の中で育ってきた人たちが年齢を重ねてきた影響が出ているのではないかと考えられるのです。
食生活の欧米化は、じつは沖縄県だけに限ったことではありません。近年、平均寿命の伸び率は鈍くなっていますし、全国の2021年から2022年の2年間は平均寿命が前年より短くなっています。厚労省は新型コロナウイルスの影響が大きかったからで、新型コロナの感染拡大が落ち着けば、平均寿命が再び上昇する可能性もあるとコメントしていますが、いずれにせよ平均寿命は近いうちに頭打ちになる可能性があります。
少なくとも、美食・飽食にまみれて健康を意識しない食事を続けていては、生活習慣病が増え、健康長寿とはかけ離れていくでしょう。今一度、1975年ごろの食卓に並んでいたシンプルな和食の良さを再認識し、今の自分のライフスタイルに合った「健康長寿食」を見つけていただきたいと思います。
(注)別冊「日経サイエンス」No237 2020年2月17日発売号