ちょっぴり泣き虫だけど優しい性格。草むしりや討伐などをして生活している。池袋PARCOのちいかわレストランに併設されたグッズショップもにぎわっていた(撮影/写真映像部・和仁貢介)

 泣き虫だけど頑張るちいかわは、まるで現実世界で奮闘する私たちのようでもある。東京都の接客業の女性(22)は言う。

「現実に近いんだけど、ノルマに追われる現実世界ほどはつらくなさそうです。『わかる、大変だよね』って共感できるし、ちいかわの世界だけはこのまま平和であってほしいと願って見ています」

 サクッと癒やされ、共感できるだけでなく、サクッと共有できるのもSNS発ならではだろう。大学生の女性(19)は「自分のインスタのストーリーに、ちいかわの『このシーンがよかった』と感想を書いてます」。好きになった人がシェアして、趣味嗜好の近いフォロワーに知られる。

 また、解釈をめぐって、XやYouTubeのコメント欄が盛り上がることもある。ちいかわ自身は「エ?」「ヤダー!」などしか発しない。結論の説明もない。

「オチが、想像の斜め上をいっている回もあって、『どういうこと?』と考察したくなります」(ファンの女性)

 考察するのも楽しいし、盛り上がりを見た人が新たなファンになっていく──。そんなSNSでの支持が「熱気」を生む。Z総研の道満綾香さんは、「100日後に死ぬワニ」でも、同じような現象が起きたと考える。19年末からコロナ禍になった20年初めにかけて、ツイッターでの4コマの連載が話題になった同作。100日目の最終話は、180万以上のいいねを記録し、映画化された。道満さんは言う。

「当時は外出自粛中だったので、自宅で漫画を読む時間があり、毎日連載を追っていた人も多かったと思います。死を意識させるシュールな内容だから、読み終わった後も考えさせられ、ラストは『ワニはどうなっちゃったんだ』と盛り上がりました」

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