学校に行かない君が教えてくれたこと』の著者・今じんこさん。長男のもっちんくんが小学校に入ってから不登校になり、心身ともに追い詰められ、じんこさんはうつ病を発症。学校を休む決断をしてからの親子の歩み、「学校に行かせなきゃ」という呪縛からどうやって自由になっていったのか、そして現在中学生になった長男との暮らしやこれからの学びについて聞きます。※前編〈付き添い登校の末、うつ病になった漫画家が語る”息子の不登校” 「“不登校になれない”時期が一番つらかった」〉から続く

MENU 呪縛からの解放は「一発逆転」ではなく「じわじわと」 「特別視しない」からこそ、見えてくる子どもの本当の姿

呪縛からの解放は「一発逆転」ではなく「じわじわと」

――うつ病を発症し、学校を休むと決断したあとは、もっちんはどのような日々を過ごしていましたか?

 学校を休ませる決断はしたものの、私自身がうつでつらかったので、家でも子どもの世話をする余裕がまったくありませんでした。教育支援センター(適応指導教室)の見学に行ってみましたが、もっちんの表情は曇ったまま……。家以外の居場所もなく、ゲームばかりしている姿にイライラして、一日中一緒にいると気が狂いそうになることもありました。今思えば、もっちんの心はまだしっかり休めておらず、居場所探しどころではなかったんですよね。

――そのような苦しい状況を、どのようにして乗り越えていったのでしょうか?

 まず、もっちんのことばかり考えるのをやめて、自分の時間を少しずつもつようにしました。学校への付き添いのために断り続けていた仕事も少しずつ再開し、細々とでも働き続けることで、自分を保てたと思います。夫も、妻にかかる負担が大きかったことを反省して、仕事を早く切り上げて帰ってきたり、学校との連絡を担ってくれたりと、積極的に関わってくれるようになりました。

――不登校について、夫婦でどのように話し合ってきましたか?

 当時は、子どもに振り回されることなく仕事をしている夫に対して憎しみを感じ、「私が全部やってるじゃん!」と、感情的にキレることも多かったです。でも、あとから冷静に話すと「言いたいことはあったけど、じんこがすごく張りつめすぎていて、何も言えなかった」と言われて。夫は合理的なタイプで、「付き添い登校に意味あるの?」みたいな考えの人。一方で私は感情を汲み取りながら動くタイプなので、ぶつかってばかりでした。でも今振り返ると、夫婦のバランスは悪くなかったかもしれません。あのころは毎日離婚したいって思ってたけど、今はラブラブです(笑)。

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今 じんこ
今 じんこ

フリーランスのグラフィックデザイナー、漫画家。もっちん(12歳)とずん(9歳)の母。インスタグラムやブログで家族の絵日記を発信。コミックエッセー『学校に行かない君が教えてくれたこと』(はちみつコミックエッセイ)は6刷重版。

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