東京・湾岸エリアにある「晴海フラッグ」。東京オリパラ大会の延期に伴い、入居が1年延期になるなどの混乱もあった
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 東京五輪・パラリンピックの閉幕から2年半、湾岸エリアが生まれ変わる。教育熱の高い同エリアの住民から人気を集めている認定こども園を取材した。AERA2023年12月25日号より。

【画像】渋谷教育学園晴海西こども園の完成予想図がこちら

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 東京オリンピック・パラリンピックの選手村だった東京都中央区のマンション群「HARUMI FLAG(晴海フラッグ)」。東京湾が見渡せる約13万4千平方メートルの広大な敷地に立つ14~18階建てのマンション21棟は、それぞれ大会後の改修を終え、来年1月、いよいよ入居が始まる。さらに2025年には50階建てのタワーマンション2棟が新たに完成予定で、部屋数は計5600戸超、入居者数は約1万2千人となる見込みだ。

 この「新しい街」に来春、新たな認定こども園「渋谷教育学園晴海西こども園」が開園する。

進学に「一定の配慮」

 10月末、保護者の就労に関わらず入園できる「幼稚園枠」(3~5歳児)の入園試験には応募が殺到。特に3歳児は、初年度の定員50人に対して応募は150人弱という人気ぶり。午前9時20分に始まった入園考査と面接が全て終了したのは、午後6時過ぎだったという。

 応募したのは、晴海フラッグに入居が決まっている人たちばかりではない。

 近くに住む30代の夫婦は次女(3)を受験させ、無事に合格を手にした。長女(6)が現在通っている幼稚園に不満があったわけではない。慣れ親しんだ環境を選ばなかった最大の理由は、こども園の運営母体が「渋谷教育学園」だからという。

 渋谷教育学園が運営する私立の中高一貫校である渋谷教育学園幕張(渋幕)は23年春、現役でそれぞれ東大59人、早稲田大176人、慶應義塾大100人が合格。姉妹校である同渋谷中高(渋渋)は、同じく東大35人、早大100人、慶應大78人が合格している。両校ともに全国トップクラスの進学実績を誇り、海外の名門大学への進学も多く、中学受験市場において生徒からも保護者からも人気を集めている。

 同学園には小学校がないこともあり、晴海フラッグに誕生するこども園からエスカレーター式に渋幕・渋渋に進学できるわけではないが、説明会で配布された資料にはこう明記されている。

「(渋幕・渋渋への進学に)一定の配慮をします」

 前出の夫婦は口をそろえて、

「中学受験をさせる予定なので、その一文はあまりに魅力的でした」

 と話す。

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