
コミュニティーの核に
こども園の統括責任者で、渋幕の校長も務める田村聡明さんの説明は明解だ。
「中学入試の出願書類に出身園を記入することができます。卒園児に合格を約束するものではありませんが、合否ラインに同じ点数で並んだ場合には、卒園児であることを配慮します」
なるほど、それは人気を集めるのもうなずける。
ちなみにイスに座ってお勉強をするわけではなく、主眼が置かれているのは遊ぶこと。宿泊体験や体操、英語などのプログラムがあるほか、注目されているのは「幼稚園枠」で入園しても延長保育が最大午後6時30分まで利用可能なことだ。
「教育熱が高いエリアで、さらに共働き家庭が増えている。今後ますます入園希望者が増えるでしょう」
と話すのは、晴海フラッグから連なる「湾岸エリア」で約20年間、幼児教室「つぼみ会」(江東区)を主宰する福山郁枝さんだ。00年ごろからタワーマンションの建設が相次ぎ、人口が増え続けてきたため、保育園不足とともに幼稚園激戦区でもあったが、
「渋谷教育学園晴海西こども園ができたことで、人気が分散し、全体的に倍率は落ち着く傾向にあると思います」(福山さん)
中央区学務課の鷲頭隆介課長は期待を込めて、こう話す。
「子どもたちの健全な成長はもちろんのこと、地域のコミュニティーの核のひとつになればと願っています」
(編集部・古田真梨子)
※AERA 2023年12月25日号