スッと飲めるのど越しの良さが自慢
きよし/東京・堀切菖蒲園

きよしの「焼酎ハイボール」260円。炭酸水は地元葛飾区のものを使用。キリッと冷えた強めの炭酸がよく効いて全体的にさっぱりとした味わいに仕上がっている。地域最安値だというリーズナブルな価格にも注目

 焼酎ハイボールの聖地と呼ばれる堀切菖蒲園エリアの中でも、安くて美味しい酒場として常連客から愛されている。氷を入れずに、よく冷えた炭酸とエキスをグラスに一気に注ぎ入れる「2冷」スタイルが店の特徴だ。

 すっきりとドライな口あたりでどんな料理にも合うことから、あっという間に三、四杯を飲み干す常連客も多い。「会計用に炭酸の瓶をカウンターに置いておくんだけど、ボウリングのピンのように並べる人もいて(笑)。プロボウラーって呼んでるよ」と女将の後藤由紀子さんが笑いながら教えてくれた。

 店内の木札やホワイトボードに書かれたメニューには女将手作りの家庭料理がずらりと並び、どれも良心的な価格設定なのがうれしい。毎日でも通いたくなるというお客の言葉にも納得だ。

ちゅるトロ系のしろと味わう
もつ焼 のんき/東京・堀切菖蒲園

のんきの「下町ハイボール」290円。氷を入れない状態で提供されるので最後まで同じ濃度で楽しめる。炭酸が強めで爽快感があり、もつ焼きと最高の相性だ。多くの客が最初の一杯に注文するという

 代々常連客が店を引き継いでいる、創業60年のもつ焼きの名店。現在は三代目の山﨑敦さんが伝統の味を守っている。こちらで一番人気の部位はシロ。豚の直腸を使用しており脂の濃厚な甘みがぎゅっと凝縮されているのが特徴だ。ちゅるトロ系とも評される独特のやわらかな食感を求め、遠方から通い詰めるファンも多いという。

 もつ焼きと一緒にいただくのはもちろん下町ハイボール。社員しか配合を知らないという秘伝のエキスが詰まったサーバーからグラスにたっぷりと注がれる。注ぎたてはレモンの香りもふんわりと漂い、熱々のもつ焼きの旨味と食感を引き立てる。まさにこの世の幸せといっても過言ではない組み合わせだ。もつ焼きラバーなら、ぜひ一度は体験してほしい。

(ライター 丹下紋香/写真 山下忠之/生活・文化編集部)

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