店主の奥野木さんは和食割烹(かっぽう)のほか、海外のリゾートホテルのレストランでも勤務経験を持つすご腕の料理人だ。毎朝新鮮な魚介類を仕入れ、旬の料理も多数用意している。メニューを見ると、定番のつまみだけでなく和洋中の手の込んだ料理も豊富に揃っており、どれを頼もうかと思わず心が躍る。「元祖焼酎ハイボールはどんな料理にも合わせやすいのが魅力のひとつ。まさに無限大の楽しみ方ができるお酒なんですよ」。
家庭料理にもよく合う味わい
亀屋/東京・鐘ヶ淵
戦後まもない頃に立ち飲み酒場として創業した焼酎ハイボールの名店。2010年に移転し、現在は三代目店主の小俣光司さんが「酎ハイ街道」として知られる鐘ヶ淵通りで営業している。焼酎ハイボールは創業時から存在したが、二代目店主がレシピの研究を行い、焼酎の種類も変更して現在の味わいにたどり着いた。エキスがウイスキーの空き瓶に保存されているのもユニークだ。
注ぎ方にもコツがあり、グラスのふちまでなみなみと注ぐのが先代から続くこだわり。たっぷりと飲んでもらいたいというおもてなしの心遣いがうれしい。
店内には小上がり席もあるが、人気なのはカウンター席。「まるで親戚の家に来たような、アットホームでどこか懐かしい雰囲気がいいんだよね」と常連客が教えてくれた。焼酎ハイボールを片手に、客同士の会話も自然と弾む。
ひんやり食感が心地いい
愛知屋/東京・鐘ヶ淵
鐘ヶ淵駅前から続く大通りを少し入った住宅街に店舗を構える。区画整理によって2012年から現在の場所で営業しているが、店は約半世紀の歴史を持つ老舗だ。「愛知屋」の名物はなんといってもシャリシャリに凍った焼酎とエキスが入ったボール。焼酎ごと凍らせて、味が薄くならないように工夫された創業時の製法を継承し、最後までしっかり冷えたまま飲むことができる。
エキスには台東区で製造されている天羽の梅を使用。香り高いエキスに強炭酸を合わせ、すっきりとした味わいに仕上げている。エキスや焼酎の配合は創業時から変わらないが、シャリシャリという呼び方は常連客が名付けたものだとか。長年、地域に愛され続けている店ならではの秘話だ。