
ユンケル飲んだバブル期とは真逆
日本でCBDに注目が集まるようになった背景には何があるのか。
海野氏が考える要因は二つある。一つは、コロナ下で社会不安が大きくなったこと。もうひとつが、若者言葉でくつろぐことを意味する“チル”文化の広がりだ。
「ユンケルを飲んで徹夜で仕事も遊びもしていたバブル期と真逆で、今のムードは“覚醒”ではなく“まったり”です。好きな肌触りの服を着たり、お気に入りのソファに寝そべったりしてストレス軽減できる人はいいんですが、どうしても仕事が頭から離れない人や緊張感が取れず眠れない人には、CBDはとても魅力的に映ると思います」
今、美容やヘルスケアに関心の高い女性たちを中心に、CBDに興味を持ち、気軽に試してみる風潮もある。 渋谷や表参道など都内のおしゃれエリアには、CBD入りのスイーツやドリンクを楽しめるカフェが次々に出店し、CBDが配合された“自然派”をうたう美容液やローションも数多く出回っている。
この、「CBD=おしゃれ」というイメージについて、海野氏は「はやりで動く人たちをターゲットにした販売戦略」によるものだと捉えている。
「スタイリッシュな商品デザインにしたり、『海外セレブも愛用』などというコピーをつけると、話題性も魅力となって手に取るハードルが下がります。日本では、『自然由来の成分=体にやさしい』という意識が根強いこともあり、特に女性たちに受けているのだと思います。でも、知識を伴わない、新しさや雰囲気重視の感度の高さは、間違いが起きるもとです。たとえば、少し前にスムージーがはやりましたが、冷たい液体が一気に胃に入ることと、噛むプロセスなく生の野菜や果物が持つ刺激物質までダイレクトに摂取することで、胃腸が弱い人は痛みを感じたり、おなかを壊したり、アレルギー性の湿疹が出たりしたケースもあります」