
「CBDとTHCは化学式こそ似ていますが、その作用はまったく異なります。『CBDは大麻成分だから危険』と思う人もいるかもしれませんが、それはただのイメージです」
こう話すのは、同志社女子大学薬学部の喜里山暁子准教授だ。海外の医療現場では、CBDは既に「てんかん」治療などに使われており、日本でも医薬品としての承認を目指す動きがあるという。
「副作用としては、食欲低下、下痢、眠気、倦怠感などが挙げられますが、相当な量を投与しない限り起こりにくく、重篤な事態に陥ったケースは聞いたことがありません」(喜里山准教授)
大麻草において規制されているのは、THCを多く含む葉や根などの部位。大麻草の成熟した茎または種子から抽出された、もしくは化学合成された CBD を使った製品は、THCが混ざっていない限り合法だ。そこで、CBDは近年、経口摂取用のカプセルや、化粧品、キャンディ、チョコレートなどさまざまな形で商品化されており、健康食品店や雑貨店でも売られている。
CBDグミで「すっと眠りに落ちた」
メディア業界で働く50代女性のAさんは、昨年、わらをもすがる思いでCBDグミを買ったという。
当時、仕事の重圧で精神的に病み、毎日焼酎1合を飲んでいたAさんは、ある日の晩酌で、精神安定剤や睡眠薬など精神科でもらった薬を一緒に飲んでしまった。そして、キッチンで昏倒(こんとう)。尋常ではない物音に驚いて駆けつけた高校2年生の娘が見たものは、食器の水切りカゴとともにあおむけで転がる母の姿だった。