米NYの大麻関連商品の展示会に並ぶ「CBDタブレット」(写真:ロイター/アフロ)

 Aさんにその時の記憶はないが、盛大にたんこぶをこしらえたうえに、翌朝、「いいかげんにして下さい」と娘にこっぴどく叱られたことで、断酒を決意し、薬もすべて捨てた。

 しかし頼りにしていた“相棒”を失った結果、どうにも寝つけなくなり、今度は睡眠不足に悩む日々がはじまった。そんななか、SNSで「よく眠れるようになった」とCBDグミをすすめる投稿が目に留まり、約5000円の出費もいとわずネット注文したのだという。

 後日、自宅に届いたグミを口に入れてみたが、特に穏やかな気持ちになることもなく、「こんなものか……」とがっかりした。だが、その晩は久しぶりに、すっと眠りに落ちた。

 しかも、毎晩記録している睡眠計のスコアは、91。お酒をあおってから寝ていたころに15だったことを考えると、その改善には目を見張るものがあった。睡眠薬を使ったときのように、翌日眠くなったり、離脱症状として化け物に体を食いちぎられる悪夢を見たりすることもない。

「眠れないときはこのグミを食べればいいんだと、“お守り”ができました」(Aさん)

CBD人気の裏には“チル”文化

 メディア業界にいるAさんのように、情報への感度が高い人は、いち早くCBDに目をつけていたようだ。

 美容・医療ジャーナリストの海野由利子氏によると、当初CBDはアメリカのファッションセレブや大麻肯定派の人々を中心に人気を集め、その情報は日本でも女性誌などでたびたび報じられ、10年以上前には流通しはじめたという。そしてここ数年で、市場が成長した。

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