須山さんは慶應で仮面浪人しながら東大を目指した。その時の慶應での華やかな生活が、東大相撲部、そして、現在の挑戦につながっているようなことをおっしゃっていた。
力士を目指して小さい頃から進む人もいれば、ひょんなことで、これだ!と、力士を目指す須山さんのような人もいるかもしれない。それぞれの人生で相撲じゃなくてもそんなドラマは起きるかもしれないのだ。
しあわせなのは、これがやりたい!と思うことに出合えるかどうか。そして出合えるまでのモラトリアムの期間も、意外と大事だということ。須山さんが学生時代、ひたすら歩いていた、とか、屋久島とかいろんなところに旅にでた話などは、すごく豊かな気持ちになる。
無駄とか遠回りってすごく大切なように思う。これがやりたい!に早々に出合ってしまうと、遠回りの時間がもてなくなるから、それまでの間に散々、しょうもない!とか、あほみたい!な時間を過ごすのってその後の財産になると思う。
いま、効率とかタイムパフォーマンスがもてはやされているけれど、効率良くしてその後の時間はどう使うのだろうか。すべてその時間がなくなるまで効率を求めるのだろうか。
その人なりのタイム感があるから、正解なんてない。私は個人的に、結果、同じなんじゃないかなあと思っている。要は、どういうルートでも自分の人生というキャンバスに、自分で納得いく自分なりの絵が描けるかどうか。それでいいんだと思う。
須山さんは、3年で幕下に上がれなかったらもうあきらめる、なんて言ってたけど。それはそれで面白い。
でも、須山さん、頑張って!!
※AERA 2023年12月4日号